ふつうの氷は、強い力が加わると一気に割れて砕けてしまいます。しかし研究チームが、強い力を受けても急に割れず、少しずつ形を変える「氷の複合材料」を作りました。押す力に対する強さはふつうの氷の約10倍で、一般的なコンクリートと同じくらいの強さがあります。
この材料は「BioPykrete」と呼ばれています。研究チームはまず、植物の細胞壁を作る「セルロースナノクリスタル(CNC)」という細かな結晶を水に混ぜて凍らせました。水が凍るときにCNCが細かな網目の構造を作り、その中に氷が閉じ込められます。さらにチームは、氷に結び付く魚のタンパク質と、セルロースに結び付くタンパク質をつなぎ合わせた「融合タンパク質」を加えました。これが接着剤のようになって、網目と氷を強く結び付けています。
研究チームが、直径2センチ、高さ1センチの円柱の試料を作って力をかける試験を行いました。その結果、BioPykreteが押す力に耐える「圧縮強度」は、ふつうの氷の約10倍になりました。また、ふつうの氷はひびが広がると急に砕けますが、この材料は少しずつ形を変えます。壊れるまでに吸収するエネルギーは、同じ体積でふつうの氷と比べて約70倍でした。
研究チームは、この材料を北極や南極で使う建物の材料の候補として考えています。ただし、今回の研究は小さな試料で性能を確かめた段階です。実際に建物に使えるかどうかを判断するためには、長い間使い続けたときの強さのほか、凍ることと解けることを繰り返したときの変化や、力がかかり続けたときの変形などを調べる必要があります。