パスワードに代わる安全なログイン手段として普及が進むパスキーを巡り、将来の自由を脅かしかねない「罠」だとする警告が投げかけられ、議論を呼んでいる。指紋や顔認証を用いるパスキーは、偽サイトへの情報流出を防ぐ強固な仕組みとして評価されてきたが、その裏で特定の企業による囲い込みが加速するのではないかという懸念だ。
ブログ「Non-Functional」の筆者であるThe Hack氏が問題視したのは、「アテステーション」と呼ばれる端末証明の技術である。これは認証に使う機器が正規のものかをウェブサイト側が確認する仕組みで、特定の機器のみを許可する制限が可能となる。同氏は、この制限が拡大すれば、独自OSを入れたスマートフォンやマイナーなブラウザを使うユーザーが、サービスから締め出される恐れがあると主張した。
もっとも、現時点でAppleやGoogleが一般向けに提供するパスキーの多くはアテステーションに対応しておらず、導入の障壁は依然として高い。IT系コミュニティのHacker Newsでは、登録時に取得していない証明をログイン時に後から要求することはできないといった指摘や、利用環境の制限はパスキー独自の課題ではないとする反論も出ている。
パスワードの流出やフィッシング詐欺を防ぐ確実な利便性がもたらされる一方で、利便性と引き換えに自らの環境を選ぶ自由が損なわれるのか、テクノロジーの進化が孕む二面性に視線が注がれている。