京都でおよそ300年の歴史を持つ寺で、土地や建物を勝手に売却して約2億2600万円を得たとして、元住職ら3人が逮捕されました。逮捕されたのは、京都市にある浄土宗「西岸寺」の元住職、逢坂慈教容疑者(74)や、会社役員の田口博也容疑者(42)ら3人です。警察によると、3人は寺を運営する宗教法人の承認を得ずに、不動産会社へ土地などを無断で売却した業務上横領や詐欺の疑いが持たれています。寺はこの被害によって、本堂や境内以外のすべての不動産を失いました。
ことの発端は2022年、建てられてから100年ほどたつ本堂で起きた雨漏りでした。修繕に最高で約5000万円かかると話し合っていたところ、逢坂容疑者は寺のイベントで知り合った鈴木慈薫容疑者(72)を連れてきました。鈴木容疑者は「1000万円を投資してくれたら、600万円を配当します」と持ちかけました。寺の責任役員や総代は詐欺を疑いましたが、逢坂容疑者は提案を信じて鈴木容疑者に傾倒し、寺の金の管理まで任せました。その結果、寺の口座から約5000万円が引き出されたといいます。
容疑者らはさらに、寺が所有する100坪以上の土地や建物に目を付けました。この不動産は月々約100万円の収入を生み出し、お布施などの本業が赤字だった寺にとって貴重な財産でしたが、勝手に売却され、代金は寺に一銭も入りませんでした。調べに対し、3人は容疑を一部否認しており、鈴木容疑者は「共謀はしていない」、逢坂容疑者は「ほかの2人が進めていた」などと供述しています。寺の存続の危機に、檀家からは不安の声が上がっています。
京都府によると、檀家や信者の減少と高齢化により、寺の運営の担い手不足が各地で問題になっています。人が少ない一方で土地や財産が残る小規模な寺では、運営の実態が見えにくくなり、外部の人間に付け入る隙を与えてしまうといいます。京都府にも同様の相談が年に数件寄せられており、警察は3人の余罪についても捜査を進めています。