2024年10月のノーベル平和賞受賞から2年が経ち、日本原水爆被害者団体協議会(日本被団協)の核廃絶運動が新たな局面を迎えている。受賞を契機に国内外で被爆証言や活動歴史への関心が高まり、講演依頼や海外訪問の機会が飛躍的に増えた。2026年に結成70年を迎えた同団体は、被爆者の苦難の歩みを伝えながら反核のアピールを強めている。
一方で、国際情勢は緊迫を増している。ウクライナやガザでの紛争に加え、米国とイスラエルによるイラン戦争などが勃発し、核保有国が軍縮義務を軽視する姿勢に懸念が広がっている。2026年の核兵器不拡散条約(NPT)再検討会議では成果文書の採択が見送られた。事務局長の濱住治郎氏は、核保有国が軍縮を口にせず不拡散のみを強調する現状を「力による支配」と批判。11月に初めて開催される核兵器禁止条約の再検討会議に向け、署名・批准国の拡大と日本政府の参加を訴えている。
国内では被爆者の高齢化が深刻化しており、全国の被爆者数は10万人を割り、平均年齢も86歳を超えている。組織の存続や運動の継承が長年の課題となる中、被団協は1年間かけて今後の在り方を議論する方針だ。被爆2世や支援者への引き継ぎ、あるいは一定の区切りを設ける案なども浮上している。記憶や資料を保存・活用する態勢の構築も進められている。
また、若い世代とのつながりでは、オンラインでの対話やイベントを通じて自主的な行動を起こす学生が現れるなど、新たな手応えも生まれている。不安の多い時代を生きる若者に対し、濱住氏は「被爆者がどのように生き延びてきたかを学んでほしい」と呼びかけている。諦めずに活動を継続することの重要性が、今あらためて問われている。