日本の最高学府である東京大学で、教職員による意向投票で最多票を得た候補ではなく、2位の候補が次期学長に選ばれる異例の選考結果となり、学内や関係者の間で波紋が広がっている。京都大学でも10月1日に意向投票3位の候補が学長に就任したばかりで、大学自治のあり方をめぐる議論が再燃している。
東京大学では2026年9月28日に教職員約2160人が参加する意向投票が行われ、副学長で工学系研究科教授の染谷隆夫氏が1107票を獲得した。しかし、学内外の委員16人で構成される「学長選考・監察会議」は、8時間を超える協議の末、553票にとどまった2位の藤垣裕子教授(64)を選出した。これまで事実上、意向投票で学長を選んできたことから、学内からは「何のために投票をやったのか」と反発の声が上がっている。
9月29日の記者会見で、同会議の議長を務める国谷裕子氏は、意向投票の位置づけについて「選考のひとつの情報」と説明し、さまざまな資料や面接などに基づいて真剣な協議を重ねて選出したと強調した。選出された藤垣氏は、意向投票との乖離がみられる点について、学内のコミュニケーションを充実させることで乗り越えていきたいと語った。
同会議は民間企業の役員などの外部委員8人と学部長などの内部委員8人で構成されている。教職員による投票の結果と選考会議の決定との食い違いが相次ぐなか、意向投票の意義や大学自治のあり方をめぐり、さらなる議論が起こっている。