自然界には、鮮やかな赤や青の体色を持つ動物がたくさん存在しますが、紫色の皮膚や毛を持つ動物はほとんどいません。専門家によると、動物の色は「色素」という化学物質によるものと、体の表面の細かい構造が光を反射して見える「構造色」の二つの方法で作られています。しかし、紫色を作り出す簡単な方法は進化の過程で生れなかったと考えられています。
自然界に青い色素を持つ動物はほとんどいませんが、構造色によって青く見える動物は数多く存在します。しかし、紫色を作るのにはさらに複雑な構造が必要です。例えば、熱帯雨林に生息する「ムラサキカザリドリ」は、色素と構造色の両方を使って青紫色を表現しています。また、「コムラサキ」というチョウは、光が当たる角度がわずか18度の範囲でのみ濃い紫色に見えます。鳥や昆虫が紫色を見せるには、体の表面や羽に細かく精密な構造が必要になります。
水中では「ムラサキヒトデ」のように鮮やかな紫色を持つ生き物も存在しますが、その色は食べたものや環境、遺伝などが関係しており、まだ解明されていない部分もあります。一方、哺乳類には紫色の体色を持つ動物がほとんどいません。魚類や両生類、爬虫類は色を作り出す細胞を持っていますが、哺乳類はメラニンという色素に頼っています。メラニンから作られるのは濃い茶色や黒、黄色や赤みがかった色だけであり、毛も精巧な構造色を表現するのには適していません。
また、物理的に見ても、単一の波長を持つ「すみれ色」とは異なり、「紫色」は赤と青が同時に目に届くことで感じられる色です。専門家は、進化の過程で紫色を作る簡単な方法がないことや、哺乳類の色素や毛の限界が重なっていることが、紫色の動物がめったに存在しない理由だと指摘しています。