人工知能(AI)を活用した機械翻訳の精度が向上するなか、日本の翻訳業者の利益がピーク時から大きく減少している。東京商工リサーチが5期連続で比較可能な100社の業績を調査したところ、2025年度の売上高は計392億5700万円、最終利益は9億200万円にとどまった。ピークだった2022年度(売上高434億7800万円、利益30億8200万円)と比べると、売上高は9.7%、利益は70.7%それぞれ減少した。
100社のうち増収は32社、増益は35社にとどまった一方で、半数にあたる50社が減収、47社が減益となった。同社は「機械翻訳が急速に進化し、簡易的な文章は無料翻訳も可能になった。翻訳の敷居が低くなり、価格競争は激化している」と分析している。AIとの競合によって破産した例も報告されている。
国内の苦境とは対照的に、世界のAI翻訳市場は急速に拡大すると見込まれている。米国の市場調査会社QYResearchは、2025年の26億3000万ドル(約4155億4000万円)から2032年には42億1900万ドル(約6666億円)に拡大すると予想する。また、インドのBusiness Research Insightsも、2025年の43億8900万ドル(約6934億6200万円)から2035年には57億2700万ドル(約9049億円)に拡大すると試算している。
両社の試算額には大きな幅があるものの、「翻訳の主流は人間からAIに移行して拡大する」という将来予測は共通している。汎用的な翻訳ではAIで効率化を図りながら、AIの精度が比較的低いとされる専門領域の翻訳や、人間ならではの表現力で差別化できるのかが、翻訳業が生き残る鍵を握るのかもしれない。