幼少期に症状を見過ごされ、成人後にADHDと診断された女性たちが、自身の特性をどのように捉え直しているかについての心理調査結果が公表された。研究チームは45歳から58歳の女性12人(平均診断年齢約49歳)を対象にオンラインインタビューを実施した。診断によって長年の苦労の理由が明らかになり、自分を責める気持ちが和らぐといった心境の変化が確認された。
調査では、話しすぎる癖を隠すために会話中に一呼吸置くなどの行動(マスキング)が診断の遅れにつながっていた可能性や、25歳ごろにうつ病と診断されて薬を試しても改善を感じられないまま、後にADHDと判明した事例などが報告された。また、友人が娘の検査を検討している話をきっかけに自身の特徴に気づいた参加者もおり、女性のADHDがうつ病や不安症と間違えられやすい実態が浮き彫りとなっている。
特に参加者が強みとして挙げたのが、興味のある作業に深く没頭する「過集中」である。ある女性は、関心のある作業であれば強い集中力で素早く作業を終えられるとして、過集中を「自分だけの特別な力」や「スーパーパワー」と表現した。一方で、部屋の片付けやアイロンがけなどの退屈な作業には意欲が湧かず、洗面台の掃除に没頭して本来の用事を忘れてしまうといった日常的な課題や葛藤も同時に語られている。
研究チームのケリー氏らは、過集中が時間を忘れたり他の用事を後回しにしたりする要因にもなると指摘している。また「スーパーパワー」は一部の参加者の体験に基づく表現であり、すべてのADHD当事者に利点があることを示すものではないと説明した。特性をかならずしも長所と思う必要はなく、強みを認めると同時に、日々の困難への支援も欠かせないと述べている。