秋の味覚の王者とされるマツタケですが、国産のものは価格が高騰し、とても希少な存在となっています。100グラムあたり5000円から1万円前後という高級品であり、日常的に口にするのは難しいのが現状です。現在、日本国内で流通しているマツタケのうち外国産が占める割合は9割以上に達しています。国別では中国産が6割以上を占めており、近年は米国やカナダ産も増えています。
国内の年間生産量は、ピークだった1941年には1万2000トン、1960年には約3500トンを記録していました。しかし、ここ50年ほどは長期的な減少傾向が続いており、2001年以降は2004年と2010年を除いて100トン未満の状況が続いています。その背景には、高度経済成長期のエネルギー革命によって化石燃料が主役となり、人の手が入らなくなったアカマツ林が荒廃したことがあります。雑木や雑草が生い茂り、マツタケが発生しにくい環境へと変わってしまったことにくわえ、近年の松くい虫の被害による大量の松枯れが追い討ちをかけました。
日常的に目にする多くのきのこ類は栽培技術が確立されており、1年を通して安定した価格で買えます。しかし、マツタケの栽培技術は現在も開発途上にあり、市場に届く国産マツタケは自然発生したものに限られ、高値が続いています。外国産が増えているものの、「芳しい香りは国内産に到底かなわない」とも言われており、国産品の価値を高める要因となっています。
「香りマツタケ、味シメジ」と言われるように、マツタケの最大の魅力はその豊かな香りにあります。炊き込みご飯や、薄く切ったマツタケを浮かべる吸い物のほか、土瓶に具材とだしを入れて火にかける土瓶蒸し、炭火焼きなど、素材の味を引き出す和食で楽しまれています。市販のマツタケ風味の吸い物は香料を使ったものが中心ですが、手軽に香りを楽しめるため親しまれています。本格的な秋の贅沢として、国産マツタケは今も特別な存在であり続けています。