スペインのサグラダ・ファミリアで2026年6月、建築家アントニ・ガウディの没後100年とメインタワー「イエスの塔」の完成を祝うミサが行われました。この大聖堂で50年近くにわたり石を彫り続けてきた彫刻家の外尾悦郎さんが、これまでの歩みや建築への思いを語りました。
外尾さんは1978年、25歳のときに「石を彫りたい」という強い衝動から仕事を辞めて渡欧しました。バルセロナで工事現場の石材を目にしたことがきっかけで、ガウディの愛弟子たちの試験を受け、サグラダ・ファミリアの彫刻家になりました。最初の仕事は地上60メートルの高所で「植物の芽」を彫ることであり、その後も内戦で破壊された「ロザリオの間」の修復などを手がけました。
1983年には「生誕の門」に飾る「ハープを奏でる天使」の制作に着手し、10トンの原石から彫り上げました。2000年までに15体全ての天使像を完成させ、「生誕の門」はその5年後に世界遺産に登録されました。また、大窓の果実と葉の彫刻では、日本語の「言の葉」の発想から「言葉という葉を通じて心の中に実が宿る」という日本人ならではの自然観を活かして表現しました。
2012年に正式に美術工房の主任に任命された外尾さんは、「自分たちは芸術作品ではなく、人間の心をつくり上げるための道具をつくっている」と語ります。172.5メートルの「イエスの塔」の完成によって世界一高い教会となったサグラダ・ファミリアですが、人間の心に向き合い真の意味での完成はないとし、今も石に情熱を注ぎ続けています。