静岡県御前崎市にある中部電力の浜岡原子力発電所(浜岡原発)をめぐり、耐震設計の前提となるデータ不正が発覚した。中部電力は2026年9月14日、林欣吾社長と勝野哲会長の辞任と、同原発3号機・4号機の再稼働に向けた適合性審査の申請を取り下げると発表した。これにより、同原発の再稼働の見通しは立たなくなった。
問題の発端は、耐震設計のもととなる「基準地震動」のデータ操作にある。中部電力は2026年1月、想定される地震の揺れを過小評価していた疑いがあると発表。同年7月には、原子力規制委員会による調査を受けた後にデータを上書きし、不正を隠そうとした行為が明らかになった。
この事態は、政府のエネルギー政策にも冷や水をさすことになった。生成AIの普及などで電力需要の拡大が見込まれる中、政府は2025年2月の「エネルギー基本計画」で既設原発の「最大限活用」を明記し、2026年7月には原発の建て替え方針を打ち出していた。今年1月には東京電力の柏崎刈羽原発6号機が14年ぶりに再稼働し、震災以降の再稼働は全国で15基となっていた。
しかし、今回のデータ不正と隠蔽工作は、原子力発電に対する国民の不安や不信感を再燃させることになった。電力の安定供給や脱炭素に向け原発活用を推進する政府の方針にとっても、大きな打撃となることは避けられない。