都心から電車で1時間以上かかる湘南地域の住宅街が、利便性の高い東京23区の強豪を抑えて「住み続けたい街」の頂点に立った。リクルートが発表した2026年版の首都圏「住み続けたい街(駅)ランキング」で、神奈川県藤沢市に位置する江ノ島電鉄線の鵠沼駅周辺が、前回の7位から急浮上して初の1位を獲得した。
鵠沼が評価された背景には、海岸に近い豊かな自然環境に加え、外国人や他地域からの転入者も温かく受け入れる開放的で自由な地域性がある。住民からは散歩やジョギングを楽しめるお気に入りの場所が多く、街への愛着を抱きやすいとの声が寄せられた。2位には「近所付き合いが薄く自由」や運動施設の充実を理由に挙げた東京都渋谷区の千駄ヶ谷駅が入り、トップ10の大部分を都心部の高級住宅街が占める中で、鵠沼の開放感が異彩を放つ結果となった。
一方で、上位にランクインした都心の人気エリアは家賃相場が高水準にとどまる。これに対し、ファミリー向けの家賃を16万円以下に抑えた手頃なエリアの調査では、東急池上線沿線の御嶽山駅が1位、久が原駅が2位に選ばれるなど、東京都大田区や練馬区に住みやすさとコストパフォーマンスを兼ね備えた街が集中していることが明らかになった。
さらに、今回新たに実施された地域の食文化や商店街の魅力を数値化した「美味しい街ランキング」では、みなとみらい線の馬車道駅が首位、みなとみらい駅が3位に入るなど、横浜市内の駅がトップ10のうち4枠を占めた。居住地に求められる価値観が単なる利便性にとどまらず、自然との調和や食の魅力、コミュニティの寛容さへと多様化している様子が浮き彫りになっている。