奈良市にある薬師寺の東院堂に安置されている国宝「聖観音菩薩立像」は、端正で美しい姿で知られていますが、いつ作られたのかという制作年代についてはいまも専門家の間で議論が続いています。7世紀末の作とする説が有力な一方で、8世紀に作られたとする説もあり、決定的な結論には至っていません。
一方で= 一方面……另一方面,用於對比兩種不同的情況或說法〜に至る= 到達某個階段、狀態或結論
像の高さが188.9センチメートルあるこの仏像は、右腕を下げ、左腕を上げて、両方の手のひらを正面に向けて立っています。聖観音は、千手観音などに変化する前の観音の基本の形で、1つの顔と2本の腕を持つ、もっとも人間に近い姿をしています。薄い衣のひだから足が透けて見える技法には、古代インド彫刻の影響があるともいわれています。
制作年代をめぐっては、7世紀末に作られた薬師寺金堂の本尊・薬師如来三尊像と様式を比較した結果から、同じ時期の作とみる説が有力とされてきました。しかし、この像が安置されている東院堂が建立された8世紀に作られたとする説もあり、謎に包まれた名作として研究者の関心を集め続けています。
〜をめぐって= 圍繞著(某個焦點或爭論點)
この像を撮影した写真家の六田知弘さんは、整った美しさだけでなく、レンズを通して見ると瞳のまわりに赤い彩色が施され、唇のかすかな紅や口元のひげがあることに気づいたと語っています。向き合う人の内面をも見通すような鋭さを秘めたその姿は、時代の謎とともに今も人々を引きつけています。
〜を通して= 透過、經由(某個媒介或手段)