オーストラリアの学習塾「ダイモックス・エデュケーション」が教室を閉鎖することを決定しました。同社は保護者に対し、高額な塾代を払うよりもChatGPTやGeminiなどのAIを活用して勉強することを推奨しています。最高経営責任者(CEO)のマーク・バックランド氏は、1科目あたり1学期800〜900オーストラリアドル(約8万9000円〜10万円)かかる指導料に比べ、AIなら月額約30オーストラリアドル(約3300円)で利用できると説明しました。
バックランド氏は、塾での指導は反復練習が中心であり、AIを使えば練習問題や採点基準を作って自分の実力を試せると述べました。さらに、成績上位の生徒が受ける補習の需要は今後5年ほどでなくなると予測しています。なお、通っていた生徒の授業がすべて止まるわけではなく、一部の教室やオンライン授業は別の会社が引き継ぎ、卒業試験を控える約38人の生徒には担当講師が個別指導を続けます。
この決定に対し、家庭教師の業界団体からは「予想外だ」と驚きの声があがっています。一方、別の学習塾「マトリックス・エデュケーション」のデビッド・ラマッジCEOは、生徒数が増加傾向にあり、人間の講師がAIに置き換わることはないと主張しました。同社も学習を助けるAIを提供していますが、高い成績を目指す生徒は引き続き対面指導を望んでいると説明しています。
また、シドニー大学で教育に関わるベン・ズニカ氏は、AI家庭教師は今後さらに進歩する一方で、生徒が自分で考える前にすぐ答えを求めてしまう懸念があると指摘しています。人間の講師であれば、生徒と一緒に順を追って考えられるのが強みです。アメリカでの研究では、AIと人間の専門家による個別指導の学習効果は同等という結果も出ており、教育現場におけるAIの役割について議論が広がっています。