昔から「腹八分目に医者いらず」と言われますが、若い時期に食事の量を控え目にすると寿命が延びる科学的な仕組みを、理化学研究所(理研)などのチームが解明しました。ショウジョウバエを使った実験で、幼虫のときに餌を減らすと、平均寿命が性別を問わず約2割延びることを特定しました。研究成果は23日付のイギリスの科学誌「ネイチャー」に発表されました。
研究チームは、生後3日〜4日の幼虫期にだけ与える餌の量を制限し、羽化後は通常の量を与えて観察しました。その結果、食餌制限をしなかったハエに比べて、オスは約50〜60日、メスは約50〜70日と、どちらも寿命が約2割延びました。チームが体内のアミノ酸の動きを詳しく調べたところ、「Lsp2」というたんぱく質の働きを抑えることで、細胞内の構造物「リボソーム」などに変化が起き、寿命が延びることが分かりました。
食事の量を制限して育ったハエは、体の大きさが約1割小さくなり、メスが産む卵の数も約3割減りました。しかし、遺伝子の操作によってLsp2が働かないようにしたハエでは、体の大きさや産卵数に影響が出ずに寿命だけが延びました。このことから、Lsp2は成長や生殖とは関係なく、寿命の調整に関わっていることが明らかになりました。
今回の結果が人間にもそのまま当てはまるかどうかは、現段階では分かっていません。特定の食べ物を勧める研究ではありませんが、人間にもLsp2によく似たたんぱく質が存在することが分かっています。研究チームは、将来の健康維持につながる食事方法の提案を目指して、さらに研究を進める方針です。